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【サブカルさーふぃん】マンガ ジョージ朝倉の『平凡ポンチ』
このニュースのトピックス:強盗事件
■「生きろ」とエール
自主映画出身の売れない映画監督が、巨乳になれないことを悩む女優志願の少女にカメラを向けながら逃避行し、殺人や強盗も辞さない…。
今月、映画が公開されるジョージ朝倉の『平凡ポンチ』(小学館IKKIコミックス)だが、よくこのマンガを映画化できたなと感心する。カルト映画好きの監督・佐藤佐吉でさえ「ページごと、コマごとに感情が違う。狂った人間の描いたものだ」と公言。読み終わっても内容を要約できない。作者がこれまでの少女漫画誌ではなく青年誌に連載したこの作品は「恋愛モノ」という枠すらも越えてさらに混とんとしている。
佐藤監督は何度も書き直した脚本を捨て、禅僧のごとく脳裏に浮かんだものだけを頼りに、自ら主演の映画監督を演じ、自分も撮られながら相手役の秋山莉奈にカメラを向け続けた。その映像がシャッフルされる。行き場のないまま走っている焦燥感と、時折現れては消えるロマンチシズムの往還…。マンガ原作を読んだときに起こる心の振幅にこれだけ近い映画化作品を見たのは初めてだ。
そして原作の持つ普遍性に気づいた。カメラを向けた途端、人は演技する。虚構になる。虚構に執着しても瞬間瞬間で裏切られていく。そこに引き裂かれながらも「とにかく生き抜いてやる」という意志に正直になるしかない。これは情報社会の中で分裂した現代人に対する「それでも生きろ」というエールではないか。(評論家 切通理作)

