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【サブカルさーふぃん】マンガ 「女の子の食卓」
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■のどに残るせつない味
東京都内のオフィス街にある書店で、「いま、女性に大人気」というポップ(宣伝札)が目につき、手に取ったのは、志村志保子の『女の子の食卓』(集英社)。タイトルからして楽しそうだ。料理を通して、生活のヒトコマにときめく女の子の気持ちが記されているのではないか。内なる“乙女心”を持った男子読者(中年)の私はワクワクしながら買い求めた。
読んでみて、驚いた。ほとんどが悲しく、せつない話なのだ。毎回、登場人物の違う短編連作だが、話をわかりやすくするためか、各回が女性主人公のモノローグでつづられる。
母子家庭や連れ子、別れゆく男女や結ばれなかった恋など、どこか何かが「欠けている」シチュエーション。ここでの「味」は幸せだったころの記憶というより、のどの奥に残ってしまった消せないモノなのだ。だから痛みを伴う。
しかし、主人公が自分の人生をとらえ直し、ひとりで生きていく決心をしたとき、その味はこれからの手向けになる、といった展開が多い。用意されたハッピーエンドではないのだ。
例えば、1巻収録の『ライ麦100%のライ麦パン』。他人が怖かった香織は思い切って東京でひとり暮らしをする。アパートで隣に住み、無愛想だが家主の老人に手作りパンを持っていくパン職人の青年に好感を持つ。「悪い人なんかいないんだなあ」と、日々の足取りも軽くなる。そして、バイト先でも次第に心を開けるようになる。
だが青年は家賃を滞納して夜逃げし、老人を悲しませる。香織は青年の店で買っていたすっぱいライ麦パンを食べる。
「甘くないモノだって食べていくと決めたのよ」。そんなモノローグに、思わず胸がキュンとなってしまった。(評論家・切通理作)

