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【産経抄】2月29日

2008.2.29 03:10
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 赤塚不二夫さんの「天才バカボン」の連載は昭和42年、『少年マガジン』(講談社)で始まった。あまりの面白さに『少年サンデー』(小学館)の赤塚番編集者だった武居俊樹さんはショックを受ける。

 ▼すでに『サンデー』で「おそ松くん」を連載している赤塚さんを、『マガジン』の編集長が2年前から口説き続けていたとは夢にも思わなかった。武居さんも負けていない。数年後、今度は「天才バカボン」そのものを引き抜いてしまう。

 ▼『マガジン』の編集者は恨みがましいことは言わない。武居さんも弁解はしない。酔っぱらって、ふざけて靴でなぐりあうとき、「以前よりちょっと力を込めるか、ちょっと力を抜くかの違いが生じただけだ」(『赤塚不二夫のことを書いたのだ!!』文春文庫)。

 ▼昭和34年3月17日、同じ日に創刊した『サンデー』と『マガジン』は、熾烈(しれつ)な争いを繰り広げながら、少年漫画の名作を次々と世に送り出してきた。赤塚作品のほか『サンデー』では、「伊賀の影丸」「オバケのQ太郎」、『マガジン』では、「巨人の星」「あしたのジョー」など、挙げたらきりがない。

 ▼そんな両誌が、来年創刊50周年を迎えるのを記念して、共同で新雑誌を発行するという。そういえば、講談社と小学館は昨年、因縁の「天才バカボン」40周年で、同じ書名、体裁もそっくりの「天才バカボン THE BEST」を発売したばかりだ。

 ▼創刊当時の読者は、一斉に定年退職を迎えている団塊の世代と重なる。今の子供たちの周りには、携帯電話やゲームなど漫画以外の娯楽があふれている。競争より共存の道を探るのは自然の流れだろう。病の床にある赤塚さんも「これでいいのだ!」と、いってくれるはずだ。

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