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【サブカルさーふぃん】マンガ ドラえもん「さらばキー坊」
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■優れた現代の児童文学
作者である藤子・F・不二雄の没後もテレビアニメが放映され続ける『ドラえもん』(小学館)。ダメ少年のび太くんの日常目線で、「こんなことができたらいいな」という夢をドラえもんがかなえてくれる。
一見、子どもの生活の中の小さな事象だけを描いているように見えるかもしれないが、あにはからんや。実はドラえもんものび太も、既に何度も「地球絶滅の危機」を救っているのである。
春の劇場版として公開される『のび太と緑の巨人伝』の原案である単行本33巻に収録された『さらばキー坊』は、10ページ以下の短編が多いドラえもんの中では、25ページと読み応えがある。
開発でなくなっていく裏の空き地から移動させてきた苗木に「キー坊」と名前を付けるドラえもんとのび太。ドラえもんのひみつ道具でしゃべることもできるようになったキー坊は、緑をないがしろにするおごった地球人を絶滅させるためにやってきた植物型宇宙人を前に攻撃を思いとどまらせようとする。
この「キー坊」は、後に大長編として描かれた『のび太と雲の王国』には大人になった姿として再登場し、オゾン層を破壊する人類にノアの洪水をもたらさんとする天上人を前に再び説得を試みる。
考えてみれば、劇場版の原作として描かれた大長編は、のび太とドラえもんを異世界との間のメッセンジャーとしてとらえたものが多い。今あるこの日常も当たり前に存在しているのではなく、普段見えない世界と影響を与え合っているのだということを、子どもたちに最初に教えてくれる、優れた現代の児童文学なのだ。(評論家・切通理作)