ニュース: エンタメ RSS feed
【サブカルさーふぃん】マンガ 闇金ウシジマくん
このニュースのトピックス:サブカルさーふぃん
■奈落の底へ負のドライブ
金融マンガには、既に『ナニワ金融道』『ミナミの帝王』などのヒット作があり、漫画のジャンルとして確立している。主人公として設定された、お金を取り立てる側は実は狂言回しであり、取り立てられる側の切実さこそが読ませる力になっていることが多い。
その意味で、このジャンルの最新ヒット作といえる真鍋昌平『闇金ウシジマくん』(小学館)以上に突きつめた作品が、今後金融マンガに登場するのは難しいのではないか。
借金だらけなのにギャンブルが止められず、闇金にまで手を出すのは、既に行くところまで行ってしまった人間である。
「人並み以下のクセに人並みに暮らしてる、身の程知らずのクズどもに終止符を打つのが俺(おれ)たち闇金の仕事だ」と彼らに10日5割(トゴ)で金を貸す闇金業社長・丑嶋は言う。丑嶋は彼ら多重債務者をさらに本当に崩壊するまで追い込む。坂道を奈落に向かって走る、降りることのできない車に乗っているような状況が執拗(しつよう)に描かれる。
そのドライブ感に巻き込まれると途中で読むのをやめられなくなる漫画だ。ひょっとしたら自分にも、彼ら債務者と同じように「負のドライブ」から降りられない因子があるのではないかと怖くなってくる。
その果てにあるのは「末期の風景」だ。たとえば何もかも失った自分が公園のベンチに座り、ふとした他人の情に触れたり、ちょっとしたことで和む。しかしそんなことが「救い」に感じられるということ自体、既に作者・真鍋昌平のわなに落ちているのだ。丑嶋社長から逃れられず、すがりつく債務者たちのごとく。(評論家・切通理作)

