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【記者ブログ】なつかしの「銀英伝」、中国で堂々出版 福島香織 (2/4ページ)
■私が上海に留学していた98年当時、アニメの海賊版がすでに流入、アニメで好きになった人も少なくない。銀英伝に影響をうけた中国若手SF作家もたくさんおり、というか、宇宙を舞台にした中国SFで銀英伝の影響を受けていない作品はない、とまでいわれている。武侠ファンタジー「誅仙」の著者の蕭鼎なども、銀英伝崇拝者のひとり。
http://comic.sina.com.cn/w/2006-08-03/175697615.shtml
■さて、海賊版で開拓された中国銀英伝市場に、昨年、正規版出版された。一番よろこんだのは、もう海賊版で物語を読み尽くしたはずの銀英伝ファン。そう、海賊版が必ずしも正規版を駆逐するわけではないのだ。良書を駆逐するのは政治なのよ。本当のファンは、正規版が出れば、条件反射的に買ってしまう。私も思わず中国語版を「大人買い」。家に帰ってむさぼり読んでしまった。村上春樹作品の翻訳などは、村上文体のムードが伝わらないものが多いが、あの独特の田中文体(ちょっと時代がかった言い回しだとか、宝塚歌劇かと思うような過剰にして華麗な修飾語いっぱいのセリフとか)は中国語表現が実にうまくはまり、大満足。あえていえば、主役のひとり、ヤン・ウェンリーの名を楊威利 (ヤン・ウェイリー)に変えていたこと。ウェンリー(文利)だと、中国人としてはあり得ない名前なのか?
■さて、銀英伝、つまり20年も前の和製スペース・オペラが、なぜ中国でこんなに大ヒットし、中国SF界にもインパクトを与え、今をもって中国の若者に愛されているか。正規版出版に際しての宣伝文句では「20年を経て、中国国内で初めて正規出版!広大な銀河を舞台にした壮麗なる英雄叙事詩!日本では1512万部が売れた!」「東方版“スターウォーズ”宇宙版“三国演義”」。
■そう、銀英伝は「三国演義」や「史記」など、あきらかに中国古典を底本にしたような、エピソード、作戦、人物造形がある。実際、作者の田中芳樹さんは中国語版出版にあたり、「私が文章を書いている紙は、2000年前、東漢の蔡倫が発明したものだ。私は少年時代、西遊記、水滸伝、三国演義と史記を読み、物語と歴史の妙味を知った。私は中国文化の恩恵を深くうけた。今、私の作品を中国で正式出版することで、中国文化に少しでも恩返しができるなら、こんな光栄なことはない。みなさん、楽しんでください」と述べている。