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農大舞台のマンガ「もやしもん」 菌キャラ人気
音大を舞台にした「のだめカンタービレ」、美大の「ハチミツとクローバー」に続いて、今度は農大を描いたマンガが話題になっている。マンガ雑誌「イブニング」(講談社)で連載中の「もやしもん」は、菌が見えるという特殊な能力を持つ主人公が農大に入学して織りなす学園物語で、単行本5巻で累計160万部のヒット。菌を擬人化したかわいいキャラクターが受け、「農大に入りたい」という若い読者も増えているという。(上塚真由)
東京・渋谷の「SHIBUYA TSUTAYA」。「もやしもん」のコミックが平積みにされた特別コーナーには、手作りのキャラクターの絵が飾られていた。「農大を舞台にしたマンガは過去にもあったが、菌というのが新しい。男女や年齢に偏りなく売れています」とコミック担当の小野寺千恵さんは話す。
「もやしもん」のもやしとは、日本酒を造るときに使われる種麹のことで、作品には、麹菌だけでなくチーズ作りに役立つカビ、風邪のウイルスなど約150種類の菌が登場。醸造や発酵の過程が人間ドラマと交錯してユニークに描かれる。
作者の石川雅之さん(33)は、自宅近くに大阪府立大農学部(現生命環境科学部)があったことから農大に興味を持っていた。「岡山の酒蔵を訪ねたとき、杜氏(とうじ)に『麹の声が聞こえる』と教わり、菌が目に見えたら面白いなと考えた」と言う。大学の図書館に通って猛勉強を重ね、顕微鏡写真の菌を参考に目や口をつけてデフォルメした。
それらキャラクターも人気の的で、携帯ストラップが付いた5巻特装版を6月に発売したところ、12万部があっという間に売り切れ。現在、10社以上から商品化の話が舞い込んでいるほか、10月にはテレビアニメも放送される。「イブニング」の担当編集者、松下陵さんは「農大に入りたいという受験生からのファンレターも多数、寄せられています」と語る。
この農大ブーム、菌ブームには専門家も注目している。国立科学博物館植物研究部の研究主幹、細矢剛さん(43)によれば、日本は発酵食品の文化が発達しているのに、菌類の研究者は減る一方だという。「菌の役割について親しみやすいキャラクターを通じて広く興味を持ってもらえた。菌の教育、普及にとっては福音です」と細矢さん。同館では来年、菌類に関する大型展示を予定している。