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【寅さんメモリアル・ロケ地をゆく】(中) 変わらない人情商店街 ■小春日や柴又までの渡し船 風天
〈千葉・浦安〉
東京ディズニーリゾート(TDR)で知られる浦安市は、「男はつらいよ」シリーズの第5作「望郷編」の舞台。といっても寅さんの浦安訪問はミッキーマウスに会うのが目的ではもちろんない。映画の公開は昭和45年夏。東京ディズニーランドが開園する13年も前だ。
寅さんは柴又で江戸川に浮かぶ渡し船(矢切の渡しという説もある)で昼寝をするうち、流されて下流の浦安町(現浦安市)にやってくる。
ここで江戸川の地理をおさらい。江戸川は利根川の支流。茨城県五霞町で利根本流と分かれて南下し、千葉県市川市で東京湾に注ぐ。では寅さんがどうやって浦安に来たかというと、京葉道路が江戸川をまたぐ辺りで江戸川と分岐し、浦安市西端で東京湾に出る旧江戸川というのがあって、映画では分岐点の手前で渡し船が旧江戸川方向に舳先(へさき)を向ける約10秒間のシーンがある。山田洋次監督の考証は深い。
寅さんは浦安の豆腐店で住み込みとして働いた。妹のさくらに送った小包の住所は「千葉県東カツシカ郡浦安町28」。「浦安町」だけではどこか分からないが、スクリーンの風景から「東京メトロ東西線の浦安駅に近い境川西岸の堀江地区」と目星をつけてみた。「境橋を渡って堀江に入り、右に折れてすぐの浴場近くでは」と浦安市広聴広報課の人に教えてもらう。なんでも山田監督は、空き地に豆腐屋のセットを作ったんだとか。
堀江地区に飛んだ。セットがあったという場所のすぐ先に本物の豆腐屋さん。数軒隣には、寅さんが縁日で弟分の「源」を見つける「正福寺」。8の付く日の縁日は今も続くと聞き、スクリーンそのままの世界に大いに感動する。
寅さんが自転車で配達に回ったのは堀江の「フラワー通り商店街」。38年後のいま、店数は減ったが、寅さんがさくらと歩いた道は一方通行の標識まで変わらない。浦安旧市街地のランドマークは大半が健在。もちろん厚い人情もだ。
にぎやかなディズニーの街は奥が深かった。休日に「寅さんの世界」を訪れてみては? マドンナの「節子さん」に出会えるかもしれない。
■行き方 フラワー通り商店街は浦安駅から西に進み、宮前通りを直進。徒歩約5分で境川にかかる新橋を渡ると、右に清瀧神社。反対側に商店街入り口がある。
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〈神奈川・江之島亭〉
「寅次郎あじさいの恋」(昭和57年公開)のロケ現場として用いられた藤沢市江の島の江之島亭。創業から100年以上たつという老舗だ。現店長の片野哲さん(37)は4代目。海に面した店内では、暑さを和らげてくれる波の音が聞こえ、西浜海岸から茅ケ崎海岸までを一望できる。遠くにそびえ立つ丹沢大山を望むこともでき、晴れた日には富士山も見える。ロケ現場を捜し求めていた山田洋次監督が江之島亭に来た際に丹沢大山にかかる夕焼けにほれ込み、この店を撮影現場として選んだ。
店内には、渥美清さんら出演者のサイン色紙や、映画のシーンのパネルなどが飾ってある。映画を見て、店を訪れる寅さんファンも後を絶たない。寅次郎といしだあゆみさん扮するヒロイン、「かがり」が夕焼けを眺めるシーンで使われた窓際の席が人気で、訪れた人は「しっとりとした雰囲気で良かった」などの感想を残す。
撮影時、渥美さんは体調が良くなかったせいか、撮影するとき以外はほとんど奥の座敷で休んでいたという。当時子供だった片野さんは、「やさしく声をかけてくれる人だった」と渥美さんのことを振り返る。
同店はテレビのグルメ番組でもたびたび取り上げられる人気店。お勧めめは、魚介類をふんだんに使った名物「江の島丼」。映画の撮影時に食べたスタッフや出演者から好評だったという。シラスをふんだんに使った釜揚げシラス丼と生シラス丼も一押しの品。その他、新鮮な魚介類を用いたメニューが並ぶ。
江の島でも奥まったところにあるが、店までの道中には江島神社や江の島大師などの名所があり、見おろす街の風景が目を飽きさせない。
■行き方 小田急片瀬江ノ島駅から徒歩約20分、江ノ島電鉄江ノ島駅から徒歩約30分。【問】江之島亭(電)0466・22・9111


