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ひとり芝居「横浜ローザ」 五大路子、今年も 演じるのではなく祈り
女優の五大路子がひとり芝居「横浜ローザ〜赤い靴の娼婦の伝説」を上演する。平成8年の初演から毎年、演じ続けているライフワーク的作品。五大は「ひとりの人間の魂の叫びを、私の体を通し、祈りをこめて響かせたい」と話す。
「横浜ローザ」は、横浜に実在した娼婦、通称“ハマのメリーさん”をモデルにした物語。メリーさんは厚い白塗りの化粧に白いドレスといういでたちで戦後から50年あまり、横浜の街に立ち続けた。17年1月、84歳でひっそりと亡くなった。
五大がメリーさんを初めて見かけたのは3年5月。道の向こうに、腰をかがめて大きな荷物を持ち、前を見すえて立っていた。
「プライドを持ったまなざし、りんとした姿…。その瞳の光に吸い込まれながら、もの言わぬ目で『あなた、私をどう思うの?』と詰問されたような気にさえなった」と五大。
あの人はだれ? なぜあんな格好をしているの? 知人に聞くと「横浜の有名人」という。その日から五大の“メリーさん探し”が始まった。化粧品店、美容院、クリーニング店…。メリーさんが利用している場所で取材をすすめた。
「追いかけるうち見えてきたのは、戦争がメリーさんの青春を奪い、人生を変えたということ。自分を売って生きざるを得なかった女性が、どうプライドをもって生きてきたか、命の叫び声が聞こえてきた」
五大のリサーチをもとに劇作家の杉山義法が脚本化。8年、ひとり芝居が幕を開けた。
「メリーさんの個人史ではなく、戦争反対と叫びたいわけでもない。メリーさんの後ろにいる多くの犠牲者たちの戦後史物語です。日本に戦争があったこと、人生を狂わせた女性がいたこと…。芝居を通して考えていただければ」
今回の公演を前に、公にされていないメリーさんの墓参りに行ってきた。
「新たなスタートラインに立てた気がします。通常は役を練り上げていきますが、この作品は命の叫び声が私の体を通って、いま生きる人へのメッセージを送る感覚。演じるのではなく祈り。今年はどんなローザが私の体に表れるのか。体が動かなくなるまでやり続けていく作品です」
15日から17日まで、横浜市の横浜赤レンガ倉庫1号館。(電)045・211・1515。(柳谷昇子)

