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【人、瞬間(ひととき)】あのとき 落語家・桂文珍さん(59)(上) ■震災直後、癒やされたのは… (2/2ページ)
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がれきだらけの街で、生きることに懸命の日々。半壊した自宅は、やむなくガレージをリビングに改装。そこから仕事場に通う暮らしは5年ほど続いた。「一見、ちゃんとしているように見えるんですが、ドラマのセットみたいに狭い。大工さんも復興で忙しくて、なかなか建て替えることができないんです。僕は仕事に行くからまだいい。家族の心のケアが難しかった」と振り返る。
「家が壊れ、周りでたくさんの方が亡くなった。命をいただいた自分は、どう生きればいいんだろう。好きだった落語に、より集中して取り組む。それ以外にやれることはない。そう思いました。一度地獄を見て、心の重心位置が低くなりました。肝が据わって、ゆるぎないものになった」。そんな言葉には、被災者の実感がこもる。
「震災を経験して大切にするようになったのは、積み重ねた芸の力、それと人と人の絆(きずな)ですね。どちらも地震では壊れないでしょ。人間はしょせん大自然の力にはかなわないけど、壊れないものは、きっとあります」(文 栫井千春)
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【プロフィル】桂文珍
かつら・ぶんちん 昭和23年、兵庫県生まれ。44年、桂小文枝(のち文枝)に入門。現代的な視点を入れた古典落語や新作落語で活躍している。『落語的ニッポンのすすめ』(新潮社)などエッセーを中心に著書も多い。8月23日には川崎市教育文化会館で独演会を開く。午後5時30分開演。問い合わせはパインオリジンTEL044・966・8447。
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