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【インタビュー】映画「歩いても 歩いても」主演 阿部寛 (1/2ページ)
■“普通の役”で一歩成長
「何で僕なんだろう?」
是枝裕和監督から新作「歩いても 歩いても」への出演を依頼され、その役柄を聞いたとき、最初に浮かんだのがこんな疑問だったという。189センチの長身に恵まれ、屈強な侍役などのオファーが続いていた。
「“際立った役”が多かったから“普通の役”に戸惑ったんですよ」と苦笑した。過去の是枝作品にはずっとあこがれていた。その監督からのラブコール。喜ぶ一方で「僕に演じられるだろうか」と躊躇(ちゅうちょ)もした。が、断る理由はなかった。「是枝監督が書いたオリジナルの脚本があまりにも面白かった」から。
「歩いても 歩いても」は、横山家の夏の一日の出来事を描くドラマ。
《良多(阿部)の実家は元開業医。現在、父(原田芳雄)は医師を引退し、母(樹木希林)と2人暮らし。夏の終わりに良多の家族と姉(YOU)家族が実家に帰省する。久々に華やぐ横山家。母は朝から張り切って手料理の支度をしていた…》
絵画の修復士だが、現在は失業中で両親には隠している。父の跡を継げなかったことにコンプレックスを持ち、小さなことにくよくよする性格は昔から直らない−。こんな普通の主人公を淡々と演じた。「小さいことにいつまでもこだわる男ですが、人間的で愛らしいでしょ」。演じた役柄を、まるで自分の家族のことでも語るように愛情たっぶりに語った。
撮影現場の休憩時間。おやつのアイスクリームを買い出しにいく当番を決めるため“足じゃんけん”をするスタッフの中に阿部の姿があった。こんな現場はめったにない。
「一人で芝居をするのではなく、家族の中に身を任せ、演じてみようと決めました。現場で僕は常に良多でいられた。忙しいが余裕がある。楽しい現場でしたね」
完成した作品は、試写会場で大勢の観客と一緒に見たという。「ある場面で大笑いしているおじさんがいる一方で、涙ぐんでいる若い女性がいたり。自分の経験や家族に重ね、それぞれの立場で考えながら見ることができる良質な作品。お客さんの顔がみんなすごくいい表情だったんですよ」

