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【人、瞬間(ひととき)】あの人 ソプラノ歌手・中丸三千絵さん(47)(上) (1/3ページ)

2008.6.3 07:44
このニュースのトピックス英王室

 ■ダイアナ元妃の志を継いで

 カチリ。小さな音を立てて、ワイングラスが割れた−。1997年の夏。突然の訃報(ふほう)が世界を駆け巡った。イタリアのコモ湖畔にある自宅バルコニーで、中丸三千絵も泣いていた。

 「ダイアナ妃がお話をなさりたいそうです。公演が終わったらおそばへ」

 94年にベルサイユ宮殿で行われたユネスコ慈善コンサートの幕間(まくあい)に、そんな伝言をたずさえてきたのは、ダイアナ元英皇太子妃の使者だった。終演後、別室に案内された。1歳違いの彼女が気さくに語りかけてくれたのが印象的だった。

 「妃殿下は『21世紀の人類のテーマは、やはり子供ですよね』と仰(おお)せになりまして。子供が生きにくくなることを、深く憂慮しておられました」

 以後、何度かお目にかかった。ファッションの話題、熱心に取り組んでおられた対人地雷廃止のボランティア活動のこと…話は弾んだ。中丸が歌う歌劇「ノルマ」の「清らかな女神よ」を、お気に召されていたという。

 「悲しみの人だと感じました。笑顔が戻り始めたころ、事故に遭われて…」

 逝去の知らせを受け、コモ湖を見渡せるバルコニーで涙をこぼした。教会の鐘が響き、向こう岸で何かが光った…と思った瞬間、手元のグラスが割れた。

 悲報は続く。5日後、マザー・テレサと指揮者ショルティも死去。何も手に付かなくなって、南仏の友人宅に身を寄せた。しばらくして自宅へ帰ってきたとき、再びグラスが割れる。知人2人と中丸の目の前で、縁から約1センチ下を輪切りにするようにひびが一周した。それをみて、われに返ったという。

 「泣き暮れるより、生前にご縁をいただいた者として、志を一つでも継ぐことを考えようと思いました」

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