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【人、瞬間(ひととき)】あのペン リリー・フランキーさん(44)(中) (1/2ページ)
万年筆がリズム生む
遅筆で遅刻魔、といわれている。確かに今回の取材も、30分遅れで始まった。「でも文章に関しては、書き始めるのが遅いだけで、書くのはすごい速いんですよ」と胸を張る。
今は原稿用紙50枚くらいの短編小説なら1日で書き上げてしまうほどだが、書くスピードが上がったのは万年筆を使うようになってからだという。それも東京・神保町にある金ペン堂の万年筆に限る。ペリカンやモンブラン、シェーファーなど、太さによって何種類も使い分けている。
イラストを描いていた雑誌でエッセーの連載を始めたのは24、25歳のころ。絵は制約が多く、自分の思いを伝えられないことにフラストレーションを感じていた。
「書きたいことがいっぱいあった。最初のころは原稿用紙にシャーペンで書いていたんですけど、握り方がおかしい上に筆圧がすごく高くて、1600字くらいで手が痛くなる。そんなときに担当していた編集者が辞めることになって、万年筆をくれたんです」
やがて万年筆は金ペン堂のが使いやすいという話を耳にする。ここは店のご主人が4時間ほどかけて、1本1本ならしていた。
「万年筆というのは新品は使いづらいんですが、ここのは最初から完全なコンディションに整えられている。即戦力なんです。鉛筆のころは消しゴムでごしごし消したりしていたけど、万年筆は消すこともできないし、格段に書くのが速くなりました。2年前に万年筆ベストコーディネイト賞を受賞したんですが、これはもらって当たり前だろと思いましたもんね。今どき万年筆で下ネタの原稿を書いているのっておれぐらいしかいないでしょう」
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