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吉田栄作、スパイ役に挑む 「オットーと呼ばれる日本人」
俳優の吉田栄作=写真(左から2人目)=が27日から、東京・初台の新国立劇場で始まる舞台「オットーと呼ばれる日本人」(木下順二作、鵜山仁演出)で、主人公のオットー(尾崎秀実(ほつみ))を演じる。「自分は映像の俳優だと思っているが、主人公の生き方、作品のメッセージ性にひかれた」という。3度目の舞台出演で、英語のせりふを操るスパイの難役に挑む。
「オットー−」は戦後日本を代表する劇作家、木下が昭和37年に発表した。20世紀最大のスパイ事件といわれるゾルゲ事件を題材に、日本人の尾崎とドイツ人のスパイ、ゾルゲ(グレッグ・デール)という実在した2人の男の生き方が描かれる。前半は1930年代初頭の中国・上海、後半は40年代前半までの東京が舞台となる。
吉田は、新聞記者で国際感覚にも優れた知識人の尾崎という男の生き方にひかれたという。
「世の中の流れがどうであれ、自分の生き方を貫く信念を持った人。弱い面、おちゃめなところも描かれた、人間としてのバランスも重視された作品」
尾崎は戦争回避と平和を願い、ゾルゲに日本国家の機密を渡すスパイ行為を行って犯罪者となった。史実では41年に事件は発覚。2人は逮捕されて、44年に処刑された。そんな歴史を振り返りながら、「当時も今も、自分の意見を持ちにくい時代。だが、この台本を読んでいると、ぼくらは文明的には進化したが、人間的には退化しているように思える」。
また、今回は演出上の新機軸として外国人俳優を中心に英語、ドイツ語のせりふも多く登場する(字幕付き)。英語を話すことになる吉田も「日常会話は平気だが、そこから一番遠いところにある言葉なので…」と苦笑しながら、難役に挑戦している。
6月8日まで。ほかに紺野美沙子、永島敏行らが出演。問い合わせは(電)03・5352・9999。(生田誠)

