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欲望の舞台にある「アジール」 映画「パーク アンド ラブホテル」
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ラブホテルの屋上に、近所の子供や高齢者が憩う小さな公園がある。「ここは何?」「アジール!」。物語の冒頭、公園に迷い込んだ家出娘の質問に、常連の悪ガキが答える。
アジールとは「権力者の秩序が及ばない場所」といった意味で、社会学者や歴史学者がよく使う言葉。例えば、神社仏閣の聖域で、学生運動が華やかな時代には「解放区」なんて意味で使われたこともあった。
そのアジールが、欲望の舞台であるはずのラブホテルの屋上に存在する−。この不思議で魅力的な設定を思いついたのは、熊坂出(いづる)監督(33)。本作で今年2月、第58回ベルリン国際映画祭の最優秀新人作品賞を受賞した。
ラブホテルのオーナーは、シンガー・ソングライターのりりィが演じる59歳の艶子(つやこ)。そこにプチ家出中の少女・美香(梶原ひかり)、夫との会話がなくなった主婦の月(ちはる)、インテリ風の常連客マリカ(神農幸)といった、訳ありの女性たちが現れる。りりィの存在感が圧倒的だ。
「映画監督はなりたくてなるものでなく、つくりたいという衝動があって気付いたらなっていたという職業」。ベルリン映画祭での受賞後の記者会見で、こう語った熊坂監督は言葉通り映画の自主製作を続けてきた。2005年にアマチュア映画人のコンテスト「PFF(ぴあフィルム・フェスティバル)」に短編「珈琲とミルク」が入選し、長編作を撮る権利を獲得して本作を撮っている。
公開中。東京・渋谷のユーロスペースなど。(佐野領/SANKEI EXPRESS)

