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「黒い水」求めて渦巻く黒い欲望 映画「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」 (3/4ページ)
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日本など比較にならない“超格差社会”の米で人々が平穏に暮らせているのは宗教(キリスト教)のおかげだが、本作が最も強く訴えているのは、昨今の行き過ぎた拝金主義が倫理観だけでなく宗教観まで侵(おか)し始めているということだ。
原作は社会派で知られた米の小説家アプトン・シンクレアの「石油!」(1927年)。これを「マグノリア」(99年)などで知られるまだ37歳のアンダーソン監督が映画化。約2時間40分にわたる威風堂々(いふうどうどう)としたドラマは息が詰まるほどの迫力だ。
しかし、何と言っても凄いのはデイ=ルイスの狂気をはらむ筆舌(ひつぜつ)に尽くし難い演技だろう。ニューヨークの闇やそこに住む人間の心の闇や狂気を描く傑作「タクシードライバー」(76年)を「当時5、6回見て平静を失うほど衝撃を受け、それまで知らなかった米の物語を語りたくなった」というデイ=ルイス。
その思いが今も変わっていないことを本作は物語るが、何と彼、本業は靴職人。そのため「出演作は慎重過ぎるほど吟味(ぎんみ)を重ねる」(米映画業界筋)のは有名な話。アカデミー賞の授賞式後の会見でも監督や父、祖父ら家族への感謝の気持ちをさらりと述べただけ。アル・パチーノと同様、出演作に関するインタビューなどもほとんど興味を示さないストイックなプロ中のプロ。その演技は映画館で1800円払う価値は十分にある。

