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【正論】再論「靖国」 90歳刀匠への言論イジメか ノンフィクション作家・上坂冬子 (3/3ページ)
このニュースのトピックス:映画
これだけではない。監督が3度目に刀匠を訪ねたとき、刀匠は監督に「あなたは靖国問題をどう思うか」と問いかけた。当然のことながら答えはなく結局、刀匠はここで、「私の考えは小泉首相と同じです。国のために命を捨てた英霊に対して祈りを捧(ささ)げたいし、二度と戦争などないようにと祈る」といっている。終わりに近づいたころカメラは仕事場の隅を写した。好きなカセットを聞かせて欲しいという注文に応えて刀匠が流したのは、オリンピック開会宣言など昭和天皇の肉声集である。このあと刀匠が「お茶も差し上げませんで」といったのは、帰って欲しいという日本的シグナルだろう。
靖国問題への賛否をならべたテレビの討論会さながらに観客を興奮させた点で、映画は成功したといえよう。だが、刀を文化とみるか武器とみるかはズレたままである。
最後に刀匠が声を張り上げて歌った詩吟の一節が、
「♪容易に汚す勿(なか)れ 日本刀」だったのは、なんとも皮肉であった。
(かみさか ふゆこ)

