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【正論】再論「靖国」 90歳刀匠への言論イジメか ノンフィクション作家・上坂冬子 (2/3ページ)
画面は変わって「小泉首相を支持する」と首相の靖国参拝を讃(たた)えたプラカードを持った陽気なアメリカ人が、星条旗を掲げてビラを配ったのを警官に注意されてションボリ去っていく姿を映したり、境内で行われた戦後60年大会で聴衆に挨拶(あいさつ)した人を後ろから羽交い締めにしかけた2人の青年を映し出したりした。彼ら2人が中国人だと分かるや「とんでもねぇ奴(やつ)らだ」と群集の声が高まり、ついに顔を傷つけられた青年が「私たちはこんな傷でひるむものか、日本の侵略を訴えつづける」といいながら救急車にのせられる様子など、息をのむ場面がつづく。
そのあと監督は再び刀匠を訪ねている。
「日本刀は戦場で役立つのか、刃がこぼれたりしないか」などという質問に、ここでも刀匠は答えることなく、身辺の藁(わら)を指して「濡れた藁束で試し斬りをしている」といい、「藁の芯には青竹を入れる」と補足した。
途端に監督は「竹を骨にするのですね」「人の骨として」とダメ押しするように繰り返す。刀匠は苦しげに「昔は囚人を斬ったらしい」とだけ呟いた。
肝心な問いに答えず
肝心な点は靖国刀を日本文化の粋とみるか武器とみるかにあろう。だが、監督は追い討ちをかけるように、戦場で何人斬ったと競い合う話を聞いたことはないかと問いかけた。画面に現れた“百人斬り”を連想させたことはいうまでもない。刀匠は「そういうこともあったかなぁ」というのが精一杯である。

