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【邦画】「船、山にのぼる」ダム建設 森は、住民は
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平成18年、広島県北東部の灰塚地域(旧・三良坂、吉舎、総領の3町)の江の川水系に完成した灰塚ダム。その建設で伐採されることになった“森”の引っ越しを追ったドキュメンタリー映画「船、山にのぼる」が東京・渋谷のユーロスペースでレイトショー公開されている。
森の木を使って長さ60メートル、幅12メートル、高さ3メートルの船を造り、ダムの水位上昇とともに山のてっぺんに移動させる。使われた丸太は2700本。そんなアートプロジェクトを思いついたのは、建築家と美術家、写真家から成るユニット「PHスタジオ」。
一見、荒唐無稽(むけい)な「船をつくる話」に、住民らが徐々に巻き込まれ、浮揚する船とわが身を重ねていく様子が微笑(ほほえ)ましい。住み慣れた土地を離れる寂しさだけではなく、新しいコミュニティー作りへの気概、希望も胸にせまってくる。
カメラは静かに淡々と事のなりゆきを追うが、プロジェクトは幾度も停滞した。地元の理解やさまざまな許可の取り付け、材料集め…。「反対運動も含めてダムがどのようにでき、住民がどんな想(おも)いで移住しているのかを、暗くないかたちで伝えたかった」と、PHスタジオの池田修代表。
灰塚ダムだけに限らない。多くのダム建設の陰で家や田畑が消え、暮らしが変わる。人々の想いがある。本田孝義監督は「山間部だけの問題ではなく、その水を利用する都市部の問題でもある。恩恵を受けている人々にも見てほしい」と語る。
25日まで。26日から大阪のシネ・ヌーヴォでも公開。(黒沢綾子)