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【能】喜多流・香川靖嗣 桜の舞に挑む
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喜多流の香川靖嗣が、桜の季節の都を舞台にした美しい能「湯谷(ゆや)」を4月5日、東京・目黒の喜多六平太記念能楽堂で舞う。香川が演じるシテ・湯谷は、平宗盛(ワキ・宝生閑)の愛妾で、清水寺の花見の宴で優美な舞を披露して、母の待つ故郷に向かって旅立つ。
「平家物語」に登場する逸話が原作で、他流では「熊野」の字が使われる(作者不詳)。「松風」などと並ぶ能の名曲で、「米の飯といわれるほど、いつ出してもよく、飽きられない曲。それだけに難しい」と、今回が3度目の挑戦となる香川はいう。
都にいる湯谷の元に、遠江(静岡県西部)・池田の老母が危篤だという手紙が届く。宗盛にその手紙を見せて、帰郷の許しを願うが、聞き届けてはもらえない。気の進まぬままに清水の花見へと向かい、舞を舞う湯谷。そこで詠んだ和歌を愛でて、ようやく宗盛は故郷へ帰る許可を与える。
のどかで華やかな春の雰囲気の中、シテである湯谷は病気の母を思い、気分は沈んでいる。その悲壮感、焦燥感が表面に出てしまうと、この能のよさが出ないという。「謡いは明るく、沈まないように」と大先輩の能楽師、粟谷菊生から言われた経験がある。
「文ノ段、花見、中舞…とパーツ、パーツになりやすい。一曲の中で、ぶつ切りにならないようにしないといけません」
ワキの宗盛は人間国宝の名人、宝生閑で、湯谷の複雑な思いを受け止めるにはぴったりの相手。秋には国立能楽堂でも舞う予定で、真価を問われる舞台となる。
「香川靖嗣の会」は午後2時開演。山本東次郎の狂言「千鳥」も。問い合わせは(電)03・3991・8037。

