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【人、瞬間(ひととき)】あの歌 歌手・中島啓江さん(50)(中) (2/2ページ)
ところが、歌い続けるうちに雰囲気が変わった。お経と曲が絶妙なハーモニーを奏でた。自身のコンサートでは三木の作品を特集したばかり。感謝の気持ちをこめて歌い続けた。
「お経がハモンドオルガン(電気オルガン)の伴奏に聞こえてきてね。あとで聞いたら、お坊さんたちも私の声に『負けられない』と思ったらしいです」
ほかにも特別な思い入れがある曲は多い。「千の風になって」はそのひとつ。母親の死というショック状態からなかなか抜け出せないでいたところ偶然、知人とファンにすすめられて聞いた。どれだけ泣いたか分からない。その後は何かが取れたようにスッキリしていた。平成16年、誕生日のコンサートでこの曲を歌った。母の死を乗り越えられたとファンに報告できた。
「新しいスタートを切ることができました。みんな、他人には分からないところでいろんな悩みを抱えている。コンサートでは、(お客さんに)人目を気にせずに泣いてもらって、癒やされて帰ってほしいと思いながら歌ってきましたが、実は私自身が歌に癒やされていたんですね」
=敬称略(柳谷昇子)

