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【ぶっちゃけインタビュー】「明日への遺言」に主演 藤田まことさん
《第二次大戦後、B級戦犯として裁判にかけられながらも、信念を曲げずに誇りと品格を貫いた岡田資中将の生き方を描いた映画「明日への遺言」(小泉堯史監督)が1日、全国公開された。俳優、藤田まことさんはその岡田中将を圧倒的な存在感で熱演した》
映画が公開され、やっとスタートラインに立った気分です。大岡昇平さんの原作のように、本当に『ながい旅』。でもみなさんが見るわけですから。これからが本当の勝負です。
実は、最初に話をいただいたとき、断ろうと思ったんです。映画の主演は久しぶり(平成8年の『必殺!主水死す』以来)だし、これまで『必殺』や『はぐれ刑事』と長いことやってた役ばかりで、新しい作品にぶつかっていく姿勢への不安がありました。
しかも、役柄が重厚です。岡田資中将は実在した方で、親族や周囲にも存命の方がいらっしゃる。そういう人物を軽々しく演じるわけにはいかなかった。しかし、監督の熱意に負けました。『集中できる環境を整えるから』と、手紙や資料を山のように送ってきたんです。半年迷った結果、受けることにしました。
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監督の約束は本当でした。例えば法廷場面。被告や弁護士、傍聴人らがいるなか、裁判官が入ってきて、みんなが一礼し、監督の合図で撮影が始まります。毎回そうです。自然に法廷の雰囲気を作ってくれました。私も本当の被告のような気持ちになり、体の中に岡田中将が入ってきたように感じられたのです。
カメラはつねに3台で撮っていました。でも、私には、どのカメラがメーンなのか教えてくれない。それが、監督の狙いでした。『全方位に向けてやってほしい』というんです。カメラを意識すると、どうしても一方向に集中し、自然の動きがしにくくなる。確かに、演技は五体で表現するものでしょう。
だから、撮影は緊張のしっぱなしでした。私だけでなく、スタッフ全員もです。私の10分間の長ゼリフの場面がありました。終わってから長い静寂のあと、監督の『カット』がかかりました。思わずスタジオにいた全員が拍手したんです。素晴らしい現場ですよ。
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今、国家からペットまで「品格」の大安売りのようですが、岡田中将は日本人として本物の品格と誇りを失わず、自己責任を明確にしたところがすごい。現代にも通じる精神で、今作ろうとした監督や製作陣の姿勢も素晴らしいと思います。
そんな映画に携わっている人たちですから、現場がとにかく熱い。私も70過ぎですが、すごいカンフル剤になりました。完成したときは、気が抜けました。私も多くの作品に出ていますが、これは別の棚に入れておきたい。2度と撮れない映画だし、2度とやれない役です。
だから、見ていただく人には、家族や親子、仲間との愛、きずなの大切さを認識してほしいですね。映画に出るまで、私も岡田中将や、戦犯として多くの人々が処刑されたことも知らなかった。こういうことを知り、平和について考えることも価値があるでしょう。
ふじた・まこと
昭和8年、東京都生まれ。俳優。テレビ「てなもんや三度笠」で人気を得て、舞台、映画にも進出。「必殺」シリーズ、「はぐれ刑事純情派」など代表作多数。平成3年に芸術選奨文部大臣賞、平成14年に紫綬褒章など。
after記者ノート
喜劇からクールな役柄まで幅広く演じてきたキャリアが結実した。法廷場面などほとんどが“独り芝居”ともいえる同映画。それは、藤田さんの存在なくしては成立しなかった。あんかけの時次郎、中村主水といった当たり役をもつ藤田さんだが、岡田資中将も加わったといえるだろう。

