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追悼 市川崑監督 果てしなき実験魂 寄稿・中村敦夫 (2/2ページ)
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ドラマの撮影に入っても、そのカット割や表現は意表をつくものだった。私はすっかり、その手品のような発想と技術にとりこまれてしまった。
レギュラーは1人で、出ずっぱりだから、ほとんど毎日監督のそばにいる。映像の勉強をするには、最高の大学にいるようなものだった。
ある日、監督が突然言った。
「君も一本撮ってみたら」
監督は、クランクインする前、私が演出した前衛舞台劇を観(み)ていた。それにしても乱暴な話だが、私は待ってましたとばかり挑戦した。このように新しいものを求める実験魂が、監督のエネルギーの源泉になっていた。
「木枯し紋次郎」で得た知名度が、その後、作家、キャスター、政治家と、新分野に突入する私の行動の後押しをしてくれた。
年老い、再び映像世界へ戻った私に、監督は、最後の作品「犬神家の一族」で、今までとは全く違う役を振ってくれた。ひょうきんな弁護士役で、完全に化けねばならなかった。あくまで「実験せよ」だった。(俳優・作家)

