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映画「明日への遺言」 法と正義、世界に問う (2/3ページ)
−−それぞれ役作りの手法はどのように?
レッサー 弁護士役はこれまでにも経験があります。さらに役作りに生かそうと法廷を傍聴したりもしましたが、60年以上も前の弁護士を演じることは正直、難しかったです。裁判で使用する言葉も話し方も現代用語とは違いますしね。昔風に話すテクニックなどが求められました。
ニール 私はかつて舞台で弁護士を演じた経験がありますが、裁判官役は初めてでした。想像した以上に弁護士役とは大きく違いましたね。弁護士は自分の信じるままに事実を詰めていく姿勢でいいが、裁判官は双方の言い分を聞く立場。冷静に判断していく姿勢が求められます。弁護士、検事は法廷内で動くこともできますが、裁判官は座ったまま演じなければならないですしね。弁護士役よりもずっと難しかったです。
−−ハリウッドと比べて日本の撮影現場はいかがでしたか
レッサー 横浜法廷を再現した1つのセットでの撮影が主でしたので、毎日、キャストやスタッフと顔を合わせていくうちに親しさが増し、法廷がマイホームのようでした。撮影中は滞在先のホテルに戻っても、一度もテレビのスイッチを入れなかった。撮影環境が素晴らしく、「1948年の法廷」にタイムスリップできた。だから現代に戻りたくなかったんです。こうして次の朝も再び私は1948年の法廷に戻っていったんです(笑)。
ニール レッサーさんたちと一緒に横浜法廷の資料館を見に行ったのですが、スタジオに再現されたセットの完璧(かんぺき)さに改めて驚かされました。また、用意してくれた衣装の軍服が1940年代を忠実に再現したものでした。完璧なセット、衣装。この環境にいるだけで、意識して役作りする必要がないほど演技に没頭できました。
−−第二次大戦の戦犯を裁くという重いテーマ。日米での観客の反応が興味深いですが
レッサー 映画は昔から暗い部分に光を当てる役割を担ってきたと思う。閉じていた本のページを開けるような作業です。この作品は軍事法廷という密室を恐れることなくオープンにしています。当時のアメリカ人ならフェザーストンをバッシングしたかもしれませんが、法にのっとって正しく行動した意味を現代のアメリカ人がどうとらえるか、私は関心があります。
ニール 何が当時の正義、真実だったかを冷静に受け止め判断できるアメリカ人がいる一方で、戦争体験から日本への敵対関係をいまだに引きずっているアメリカ人も当然います。しかし、それぞれの立場の人たちにアピールできるテーマがこの作品には込められている。じっくりとかみしめながら日米の映画ファンに見てもらいたいですね。


