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【舞台】内田有紀「物語のエッセンスに」
演出家・俳優の串田和美が長年温めてきたミラン・クンデラの劇作「ジャックとその主人」が上演される。久しぶりに舞台に出演する内田有紀は「人生いろいろあるけれど前に進みましょう、というお話。さりげないユーモアがあってすごく面白い」と話す。
クンデラはチェコスロバキア出身の作家。「プラハの春」で先導的役割を果たしたとして著書は発禁処分となり、フランスに出国後、チェコ国籍を剥奪(はくだつ)された。著書に映画化された「存在の耐えられない軽さ」などがある。
串田は「記憶と現実、現実と舞台の橋渡しをする芝居です。生きていく切なさ、登場人物たちは人生の不毛さになんとか立ち向かおうとします」と話す。「これからどこに行くか分かっている人間なんてどこにもいませんよ」というせりふに、共産党体制下のクンデラの苦悩を見て取れる。
ジャックの主人(白井晃)とジャック(串田)がベケットの戯曲「ゴドーを待ちながら」と同じようにとりとめもなく話し続ける。しかし「ゴドー」と違い、主人は友人に彼女を寝取られた話、ジャックは友人の彼女を寝取った話だ。舞台では主人とジャックが話し合いを演じると同時に、2人が話す内容を役者たちが演じていくという趣向。内田は主人とジャックがつきあった女性、アガットとジュスチーヌなど3役を演じる。
「3人の女性は、男性からみると魅力的な女性ですが、女性からみると都合良く利用されているというか、もっとしっかりしなさい、とはらはらします」と内田。
主人とジャックの恋のエピソードはあちこち脱線しながらなかなか前に進まず、観客は笑いに包まれるはず。
「串田さんと白井さんと芝居ができてすごく幸せです。チャーミングな2人の間に物語のエッセンスとしていられれば」と内田は話した。
公演は19〜3月2日、東京・吉祥寺シアター(電)0422・54・2011。3月6〜9日、長野・まつもと市民芸術館(電)0263・33・2200。(江原和雄)

