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エッセー集 講談師・神田紅 男社会で「独り立ち」

2008.1.27 11:46

 講談の神田紅が昨年で芸能生活30年を迎えたのを機に書いたエッセー『女の独り立ち』(産経新聞出版)を出版した。

 東京を中心に活動する講談師60人のうち半数以上の33人が女性と、女性講談師はすっかり当たり前の存在になったが、昭和54年、紅が女優の世界から転身、二代目神田山陽に入門したころは、先輩の女性講談師は3人だけ。「男性社会でパワハラ、セクハラは当たり前。女が講談なんて…と、江戸時代がそのまま残っているような世界でした」と話す。

 『女の独り立ち』は、そんな修業時代、「上の者がいうことは絶対」というタテ社会の中で、不条理さをバネに講談師として成長した足跡が綴(つづ)られている。

 「男尊女卑の世界で、悔しい思いもしましたが、芸を人前で披露して聞いていただくためには修業は避けて通れない。セクハラやパワハラさえ、自分を磨くために利用するぐらいでなければ芸人として大きくなれないんですね。今、職場などでさまざまな理不尽さを感じている働く女性たちにも、自分を磨くために環境を利用することができれば、物事が前に進むということを知ってほしい」

 今では弟子も3人おり、ベテランの風格を感じさせる。入門から現在に至るさまざまなエピソードは、ひとりの講談師の修業記であると同時に、女流が男性社会の中で居場所を獲得していった、昭和から平成にかけての講談界を知る資料としても読むことができる。明治の歌人、柳原白蓮ら紅オリジナルの女性一代記を中心にした創作講談、現代講談師の系譜も収録されている。「講談という芸能にもっと光を当てたい。この本が少しでも多くの人に講談を知ってもらうきっかけになれば」

(栫井千春)

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