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波乱の時代 心寄せ合う一家 映画「母べえ」
このニュースのトピックス:「SANKEI EXPRESS」から
「吉永さん以外には考えられない」とこれまで書いたことのない手紙で吉永小百合(62)を“口説いた”という山田洋次監督(76)の「母(かあ)べえ」。黒沢明監督のスクリプター(記録係)を務めた野上照代の著作「父へのレクイエム」が原作で、米開戦直前に父親が治安維持法で逮捕され、残された家族が激動の時代を必死に生きる姿を描いた作品だ。吉永は困難に陥っても常に子供たちとのふれ合いを忘れない情愛豊かな母、野上佳代を演じている。
舞台は1940(昭和15)年の東京。父、滋(坂東三津五郎)の逮捕を境に心細く波乱に満ちた生活が始まるが、父の教え子の山崎徹(浅野忠信)や妹の久子(檀れい)らの支えで、野上家には慎(つつ)ましくも温かい時間が流れていく。他人同士が気軽に会話を交わし助け合う様子が、今では失われたといわれる、人と人との絆(きずな)を思わせる重要な仕掛けとなっている。
「昭和」を古き良き時代として描く風潮はここ数年続いているが、本作には戦争は周囲の大切な人を失うという現実を改めて知らしめられる痛みが伴う。胸が締め付けられたところで救われるのが吉永の美しさだが、果たして戦時中の母親はここまできれいだったのだろうか…。26日公開。(片岡友理/SANKEI EXPRESS)

