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【産経抄】1月20日
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老いてますます活躍されている女優の一人に、NHK大河ドラマ「篤姫」で主人公を温かく見守る奥女中役を好演している佐々木すみ江さんがおられる。と書くと見え透いたお世辞を言うんじゃないわよ、と柳眉(りゅうび)を逆立ててしかられそうだが、佐々木さんからある映画を薦めるメールがきた。戦後生まれのみなさんが知らない古き良き日本をみてほしい、と。
▼その映画は「北辰(ほくしん)斜(ななめ)にさすところ」。めったにご自分の出演作を褒めないのに珍しい、と重い腰をあげて歌舞伎町まで見に出かけた。大手の配給でないので、東京ではたった1館(シネマスクエアとうきゅう)しか上映していないからだが、これが泣ける。
▼筋書きはいたってシンプルだ。旧制七高の寮歌が題名になっているように、今はなき七高(鹿児島大の前身)と五高(熊本大の前身)の野球対抗戦を軸に、旧制高校の青春群像を描いている。
▼観客のほとんどは、何十年か前には少年少女だった方々だったが、ぜひとも若い世代に見てほしい。さきの大戦で散華した幾多の若者への鎮魂が映画の背骨になっているからだ。
▼戦前の教育がすべて良かったというつもりはないが、旧制高校出身者の絆(きずな)の強さと志の高さを見るにつけ、戦後教育が失ったものの大きさを知らされる。映画では新入生に緒形直人ふんする寮の先輩が「天才的なばかになれ」と一喝する場面があるが、今の世の中、小賢(こざか)しいばかが多すぎる。
▼きょうは大学入試センター試験の2日目。受験生のみなさんは体調に気をつけて全力を出し切ってほしいが、難関を突破した先が受験生の期待に十分応えているか甚だ疑わしい。各大学は、旧制高校が持っていた誇りと気高さを取り戻すことから改革を始めるべきだ。