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【人、瞬間(ひととき)】あの人 落語家・林家正蔵さん(45)(下) (1/2ページ)
このニュースのトピックス:伝統芸能
■お前は三平にはなれない
驚いた。江戸時代から続く落語界の大看板「林家正蔵」を自分が継ぐ?
「襲名について考えていただけませんか」。東京・上野の寄席、鈴本演芸場の席亭(オーナー)が正蔵(こぶ平)の自宅を訪れたのは、古典落語への取り組みが少しずつ周囲に認められ始めたころ。しかし、祖父が名乗っていた「正蔵」とは…。
「全く、全く、まあったく、頭の中になかったんですよ。襲名があるとしても(父の)三平だろうと。何と答えたらいいのかわからなくて…」
まさに青天の霹靂(へきれき)だった。「留め名」と呼ばれる一門の最高位の名跡。自分に継ぐ力量があるのか。考えるとは言ったものの悩みに悩む。そんな中で、思い出した言葉があった。
古今亭志ん朝。中学生のころからあこがれの存在で、落語家になってからも、公私ともにかわいがってもらっていた。平成13年に雑誌の企画で対談したとき、やはり偉大な父と比べられる立場だった志ん朝に、諭すようにこう言われた。

