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【サブカル展望2008】(下)評論家・切通理作 「妄想少女オタク系」が示すもの (1/2ページ)

2008.1.9 08:10
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 「すべての問題はコスプレを応用して考えられる」−とは、作家・中村うさぎの言葉だった。コスプレとは扮装(ふんそう)にとどまらない。性格の違う自分を使い分けたり、〈男〉の自分や〈女〉の自分を使い分けるのもコスプレだと中村は言う。それは認識の問題だ。女性が「女」であることは当たり前ではなく、「女らしさ」というものは女性が「女」にコスプレしている(男もまたしかり)のだということに気づくこと。多チャンネル時代には、人のあり方も一枚岩では通用しない。

 そんなことを考えさせる漫画に『妄想少女オタク系』(紺條夏生作、双葉社刊)がある。この漫画の存在を知ったのは、現在公開中の同名映画化作品(堀禎一監督)を見たからだった。

 「私の中の男子なボクが、阿部君のこと好きみたいだよ」。イケメン男子・阿部にほれられるヒロイン留美だが、彼女は「腐女子」だった。腐女子とは、勝手に同性愛の妄想を男性同士の友人関係や上司と部下の関係に投げかけて盛り上がる女性のオタクのことである。やがて留美は、妄想の中の「王子様」である自分に目覚めることで、阿部と向き合える場所を現実に見いだしていく。

 単純に恋愛というゴールに向かって走っていくストーリーではない。映画は「やおい」を装置にすることで、プラトニックな「学園ドラマ」を成立させることに成功している。子供のころに見た『飛び出せ!青春』や『われら青春』といった学園青春ドラマに描かれていたような、男女がキスをするのがやっと−というような淡い、恋の一歩手前の感情にときめいたことを思いだした。

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