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【わたしの失敗】作家・桐島洋子さん(70)(4)
■電撃結婚でバッシング
「えーっ、お母さま結婚するの?」。驚いたのは子供たちだけではなかった。「いまさらもう結婚なんて、家族公認の恋人同士でいいんじゃない」。母親までが当惑顔だ。
44歳まで独身を通した桐島が、一回り年下の古美術商と電撃結婚した話題は当時、センセーションを巻き起こした。桐島は既に大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した売れっ子作家であり、シングルマザーとして3人の子供を育てる自立した女だった。因習にとらわれないカリスマ的存在として取り上げた雑誌もあった。そんな彼女にあこがれ、お手本とした女たちにとって、桐島の結婚は少なからぬショックを与えたようだ。
「『裏切られた』『自立をあおられ、はしごを外された』なんていわれたけれど、私は昔から結婚否定論者ではなかったし、私なりの人生を精いっぱい生きてきただけ」
そんな夫とは、約20年間連れ添った。「いいことも悪いこともすべてのことに意味があると思っているから、結婚も離婚も全然後悔していない。離婚した今でもいい友達よ」と振り返る。
自らの信念に基づいて生きる桐島は、節目ごとに潔く人生をリセットしてきた。「あんまり欲張りすぎたらだめ。ある程度まで行くと、もういいって思っちゃうのね」
超多忙な作家生活を送っていた40歳目前には、仕事を断って1年間、子供たちとアメリカで暮らした。「絶好の稼ぎ時に日本脱出なんてもったいない」といわれたが、命の洗濯と子供たちの教育に惜しみなく時間を使った。
50歳で子供たちが巣立ってからは、人生の実りの秋を意味する「林住期」を宣言して仕事を絞り、カナダの大自然の中で晴耕雨読の日々を送っている。
「私はビッグにもお金持ちにもなれなかったけど、浮かれず相応な暮らしができたと思ってる」
今夏、70歳になった桐島は、「しばらくエンジンを再始動して、多少なりとも世の中の役に立ちたい」と、人生で培った智恵や経験を伝える大人の寺子屋「森羅塾」を来春東京で開催する。古希を迎えた彼女にまた、実り多い転機が訪れるに違いない。=敬称略(文 横山由紀子)
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次回は児童文学作家、那須正幹(まさもと)さんです。

