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【わたしの失敗】俳優・柄本明さん(59)(2) (1/2ページ)
このニュースのトピックス:舞台
■バカなコントで血まみれ
「きさまか!スイカをハシで食べるバカは!」「お前こそスプーンで盛りそばを食べるというではないか!」
全身にスプーンをくっつけた「スプーンマン」と、これまた全身に割りばしを張り付けた「割りばし仮面」が対峙(たいじ)する。
昭和50年、新宿西口のビアガーデン。自由劇場に所属する柄本明、ベンガル、綾田俊樹の3人は、コントショーの舞台に出演していた。「もっとくだらないことがしたい」と志向する3人が始めたアルバイトだった。
前日にネタを打ち合わせるのは楽しかった。「明日は大受けだ」と盛り上がったが、客は見向きもしなかった。
「当たり前だよ、みんな酒を飲みに来てるんだから。終わったあとで『何がいけなかったんだろ?』なんて反省してさあ、バカだったなあ」
必ず舞台を見させてやる−。3人のネタは過激になっていった。
「わーははは」
ある日、隣のビルによじ登ったベンガルは、照明がわりの懐中電灯で自分を照らし、2メートルほどの高さから飛び降りた。
「とう!」
着地したとたんに、体ががくっ、と傾いた。「やばい」。2人が心配してみていると、彼は体勢を立て直して走り始めた。が、今度はがあん、と客席にぶつかり、うずくまった。客は迷惑顔だ。ベンガルは足をねんざし、肋骨(ろっこつ)にもヒビが入っていた。