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【わたしの失敗】俳優・柄本明さん(59)(1) (1/4ページ)
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■青春の誤解で辞表
東京・八重洲の商社に勤める営業マン、柄本明は、「あまりに場違いだ」と後悔していた。昭和43年12月のことだ。先輩に誘われ、高田馬場にある早稲田小劇場に来てみたが、客席は70年安保の世相を反映して、髪を伸ばし、汚い格好をした人たちばかり。
「でも、それがすごくかっこよく見えてね。スーツを着て、ネクタイなんてしめてるのはぼくらだけで、とても恥ずかしかった」
やがて舞台が始まった。柄本は笑い転げた。おかしくて、おかしくて仕方がなかった。
「いやもう、実に下らなかった。何でこんな下らないことしてるんだろう、と思ったんだよ」
映画好きの両親に影響され、幼いころから山ほどの映画を見て育ったが、俳優という仕事に興味を持ったことはなかった。そんな柄本が大笑いしながら「“あっち”の世界に行こう」と思っていた。「それでなきゃ始まらない」という確信まで抱いていた。

