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【話の肖像画】奈良から世界へ(3)映画監督・河瀬直美さん

2007.11.2 03:44
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うだしげきさん(右)とうだしげきさん(右)と

 ■うださんの自然な演技

 《「殯(もがり)の森」主演の認知症の老人役には、うだしげきさんを抜擢(ばってき)。奈良市内で古書喫茶店を営み、随筆や小説の執筆も手掛けるが、演技はまったくの初体験だった。だが、好演ぶりがカンヌでも話題に。8年前、居酒屋で出会ったうださんから「ファンです」と声をかけられたことが出会いのきっかけだった》

 −−うださんはどんな方ですか

 河瀬 現場を作ってあげ、追い込めば追い込むほどできる人。裏表がなく、役者に向いていると思います。日常的にも、普通でない生活を楽しめるようで、どんな逆境にも笑っていられる。日本人が失った大切なものを持っているような人です。

 −−具体的には

 河瀬 しょうゆや豆腐がなくなったときに、電話すれば買ってきてくれます。都会では今は人にそんなこと頼めませんが、うださんには遠慮なく言える。子供も預けると遊ばせてくれたり、寝かせてくれたりします。子供がよくなつく人です。

 −−だからこそ、自然に演じられたのでしょうね

 河瀬 文学もしておられるので、私の作品も理解してもらっています。認知症についても、グループホームで体験してくれました。カンヌで主演男優賞を受けるのではと思ったくらいで、審査員の中には自然な演技だと評価してくれた人がいました。特に目の動きが自然でした。

 −−作品では、うださんが山中の原始林の大杉に行くシーンが印象的でした

 河瀬 とにかくそこへ行きたいという感情を表現するため、しゃべってほしくなく、撮影ではしゃべれないほどに疲れさせました。山の下から5往復くらいはしてもらったと思います。

 −−ほかにもエピソードがあるのでしょうね

 河瀬 スイカ畑のシーンでも、一日中走ってもらいました。何がいるか分からないような池にはまってもらうシーンも撮りましたが、結局作品には入れませんでした。

 カキの木に登ってもらったときには、はさみで手を切って血も出ましたが、そのまま撮影していました。本当に鬼監督ですよね。うださんは「これから入ろうとしている森が恐ろしい」とおびえていました。

 −−大雨で増水する中、進もうとするしげきをヒロインの真千子が止めようとするシーンは感動的でした

 河瀬 本当に大雨が降っていて、かっぱを着ていてもずぶぬれになりました。(真千子役の)尾野真千子さんは、寒くて震えが止まりませんでした。(岩口利一)

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うだしげきさん(右)と

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