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【ウェブ時代 5つの定理】その3 技術者の眼 (1/3ページ)
■「流れ」と「未来」見通す能力
第3定理は「技術者の眼(め)」である。21世紀のビジネスは、科学と技術を抜きにして考えることはできない。これまでに述べたアントレプレナーシップとチーム力を、その根底で突き動かしているのが「技術者の眼」だ。
シリコンバレーの中核には、科学や技術を愛する人たち独特の価値観が深く根付いている。起業家やエンジニアばかりでなく、経営者、投資家や金融機関にまで、文系的な管理者的な論理とは全く異なる精神が貫徹されている。
特に2つのことが重要である。1つが西海岸特有のカウンターカルチャー(伝統的・支配的な文化に対抗する文化)から強い影響を受けた思想である。もう1つが「大きな技術の流れに逆らっては絶対にダメだ」という考え方である。
≪カウンターカルチャーは中央集権化された権力に軽蔑(けいべつ)心を示し、まさにそれが、リーダー不在のインターネットの世界だけでなく、PC(パソコン)革命に対しても哲学的基盤を与えた≫
これは、1960年代から70年代のカウンターカルチャー思想を牽引(けんいん)した作家スチュアート・ブランドの言葉である。
70年代にシリコンバレー発で始まったPC革命から、現在進行中のウェブ進化に至る思想的基盤には、技術こそが反中央、反権威、アンチ・エスタブリッシュメントの個をエンパワー(力を付与)するものだという考え方が根強くあった。
その力を起爆剤に現状を破壊し、フロンティアを切り開こうというのである。事実、PCは誕生当初から、個が技術を使って権威と対抗できる革命的な道具として産声を上げたものだ。
個人一人一人の自由を最大限尊重すべきだとし、国家や体制に縛られるのを嫌うリバタリアニズム(自由至上主義)に、個の力を強めるパーソナルテクノロジー、管理されないネットの自由を信奉する考え方が結びついたのだ。

