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【ねっと系】スクロール 通信と放送、融合への早道は

2008.2.27 08:18
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慶応大准教授 土屋大洋

 

 日本の通信事業の自由化から20年以上が経過し、業界地図は様変わりした。NTTの独占を指摘する声はあるものの、あらゆる市場区分で競争事業者が参入している。

 放送が通信の特殊形態だと考えれば、放送にも競争を導入しようという考えが出てくるのは当然だろう。昨今の通信と放送の融合論議では、放送事業者のかたくなな姿勢が批判されてきた。通信事業者は自分たちで構築したネットワークに流すコンテンツを求め、放送事業者や映画会社のコンテンツを流したいと考えてきたが、著作権などを理由に放送局が番組を手放さないためである。

 では、なぜ通信事業者は自分たちでコンテンツ作りに参加しないのだろう。通信事業者が自らコンテンツを作ることは違法でも何でもない。

 無論、放送と通信とではコンテンツの流し方が違う。無料の地上波放送であれば、放送地域に住む人全体が潜在的な視聴者になる。しかし、通信事業者が流すコンテンツの視聴者はその通信事業者の顧客だけになる。顧客数が小さければ、番組作りのコストはペイしない。

 しかし、通信事業者は待っているだけではなく、コンテンツ作りに積極的に関与すべきであろう。日本はコンテンツ大国になるという目標を持っているが、アニメや漫画、テレビ番組、映画など、実際のコンテンツ産業の末端では、クリエイターたちは十分な報酬を得られていない。通信事業者が新しい仕事を提供すれば、クリエイターたちにとっても新しい収入源になる。

 通信事業者たちは、放送事業者を過度に刺激してしまうのではないかとおそれて番組作りに手を出そうとしていないが、通信と放送が融合するということは、すみ分けをやめるということであり、境界を超えて手を出すことである。放送事業者にコンテンツを出せというよりも、通信事業者にコンテンツを作ってみたらどうかと勧めるのが、通信と放送の融合への早道ではないだろうか。

【プロフィル】土屋大洋

 つちや・もとひろ 慶応義塾大学大学院政策メディア・研究科准教授。専門は国際関係論、情報社会論、公共政策論。主著に『情報による安全保障』(慶応義塾大学出版会)、『ネットワーク・パワー』(NTT出版)など。

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