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【日曜経済講座】「神の見えざる手」が破壊された世界 編集委員・田村秀男 (2/3ページ)
このニュースのトピックス:金融危機
それでも証券が焦げ付いたら、発行機関に代わって元利払いに応じる。この保険商品は金融派生商品(デリバティブ)の一種「CDS」と呼ばれる。リスクがほとんどない。ならば投資規模を借金で膨らませればもっともうかる。低金利のドルばかりでなく、海外、特にゼロ金利の日本から円を調達してドルに転換し、自己資金の何十倍も投資すれば、投資収益率は何十倍にすることも可能だ。この手法は「レバレッジ(てこ)」と呼ばれる錬金術だ。
壮大な一連の作業はIT(情報技術)により、金融工学のソフトを使えばパソコン上で簡単にこなせる。取引は電子情報を帳簿間でやりとりするだけで済む。
かくして米GDPの2倍以上ものマネーが仮想現実空間で創造された。米国の消費者は容易に借金でき、好きなモノを買える。中国は輸出主導で世界の工場として2ケタの高度成長を続け、日本も自動車や家電など輸出産業が生産規模を拡大してきた。
グラフは、中国の輸出や日本車の生産規模が、米国の経済成長率を大きくしのぐ金融商品の伸びに同調して膨張してきたことを示す。金融バブル崩壊と同時に、売り上げや生産は奈落に落ちる。
住宅バブルの崩壊が始まった途端に、証券化商品は一瞬にして価値が消えた。証券化商品は株や不動産のような資産とは違い実体がない。低リスクという信用が消えると、金融商品やローンは際限なく価値が失われていく悪循環にはまった。世界の工場までものみ込む「巨大津波」が発生した。
1990年代の日本のバブル崩壊は株や不動産で、10年かかったが不良資産処理はできた。だが、米金融バブル崩壊は巨大な迷宮の中で進行し、出口が見えない。清算のメドが立たない。
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