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【岩崎慶市のけいざい独言】アジア通貨の議論を今年こそ
「日は北東アジアから昇る」と書いたのは、3年前の正月だった。中国を主要メンバーとする「東アジア共同体」の議論があまりに荒唐無稽(むけい)だったから、日、韓、台湾で通貨制度を含めた「北東アジア共同体」を創設する方が現実的だと提案したのである。
日本が人口減社会を乗り切るためにも地域経済一体化は重要なのだが、この種の論議はしぼんでいった。しかし今また、米国発金融危機でそうした必要性が急速に高まってきた。
もちろん、欧州連合(EU)を見るまでもなく経済共同体は一朝一夕にはいかない。だが、中国も含めてすぐに議論に入れる、いや入らねばならない緊急性の高いテーマは存在する。
その一つが金融危機への直接的対応となるアジア通貨基金(AMF)だ。アジア通貨危機に際し日本が国際通貨基金(IMF)のアジア版として創設を提唱し、米国と中国の反対でお蔵入りしたのだが、環境は変わった。
アジア通貨は円だけでなく対ドルでも下落しており、とりわけ韓国ウォンは深刻だ。ウォン買い介入で外貨準備が激減し、先月の日中韓首脳会議では日中がウォンと外貨の通貨交換(スワップ)協定枠を大幅に拡大した。
これはアジアの多国間スワップ協定であるチェンマイ合意に沿ったものだが、一昨年に合意した一部外貨準備の一括管理までには至っていない。この議論を再開して一歩進めたい。先にはAMFの具体化が見えるはずだ。
国際金融の経験を積んだ中国もアジア通貨の安定を望んでおり、さすがに反対はしないだろう。米国は自分のことで精いっぱいだ。議論をリードする出番が再び日本にめぐってきたのである。いや、それは日本の義務ともいえる。
アジア通貨は本来、金融危機の震源である米ドルに対して上昇していい。なのに、「円キャリー取引」の巻き戻しで資金が米国経由で日本に逆流する形で急落した。いわば円には米ヘッジファンドを通じて新興国のバブルと信用収縮を演出した責任の一端があるのだ。
変動相場制に移行したアジア通貨は市場対応力の脆弱(ぜいじゃく)性も露呈したから、適正な形でのバスケット制(主要通貨を加重平均してレート算出)回帰も課題になる。今年こそアジア通貨改革へ議論を本格化させたい。