ニュース: 経済・IT RSS feed
【金融危機】米の公的資本注入計画の課題
【ワシントン=渡辺浩生】ブッシュ政権が正式表明した公的資金による金融機関に対する資本注入をめぐっては、その実施時期や対象となる金融機関だけでなく、注入の際の基準など具体的な計画はまだ明らかになっていない。今後は大統領選前の政治空白で議会との調整も難しい時期を迎えるだけに、金融危機の拡大阻止に向け、財務省は具体案を早急に示す必要に迫られている。
ポールソン財務長官は10日、先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)終了後の記者会見で、先に成立した金融安定化法を活用した金融機関への資本注入計画について、原則として優先株など議決権のない株式を購入の対象とする方針を明らかにした。そのうえで、「資本注入はできるだけ早く、適切かつ効果的に構築する」との考えを強調した。
ポールソン長官はこれまでも幅広い健全金融機関を対象に、議決権のない株式購入を原則として資本注入を実施すると説明してきたが、その実施時期は明言していない。金融危機沈静化への取り組みをアピールするためにも、早期に計画を示し、早期に資本注入の実績を示す必要がある。
ただ、議会との調整は難航が予想される。財務省では「金融安定化法成立で議会から与えられた権限の中に株式の購入も含まれている」と法律の拡大解釈で乗り切ろうという姿勢だが、ポールソン長官は議会公聴会では資本注入に否定的な見解を貫いてきた。それだけに議会指導者の了解をどれだけ取り付けたかは、定かでない。
また、資本注入は「税金によるウォール街(金融街)救済の拡大」と国民に批判される可能性が高く、対象となる金融機関には経営責任の明確化が一段と求められるのは必至だ。しかし、ウォール街では、政府が株主として経営に直接介入する資本注入にもともと警戒感が強い。
さらに「経営者の報酬制限を含めて、金融機関が公的資金の受け入れに同意するかどうかは不透明」(米紙ニューヨーク・タイムズ)という見方が強い。注入金融機関には、金融当局による継続的な監督・監視も不可欠となる。