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【正論】新「前川リポート」を読んで 尚美学園大学客員教授・丸尾直美 (1/3ページ)

2008.7.22 02:55
このニュースのトピックス正論

内需拡大で景気の維持を

 少子高齢化の進行に加え、世界的景気後退のなかで、日本経済の進路が見えない。現在の経済路線は、無駄な公費と社会保障費などの節減で経済負担を軽くし、投資を増やし国際競争力を強くして成長するという考えのようだ。

 しかし、この路線は2つの暗黙の前提に立つ。第1に、長期的に社会保障財政を維持できないとの政府の見通しは、近年の1・26〜1・34の合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産む子供の数)がさらに下がるかあまり回復しないという想定に立つ。だから、出生率が回復に転じて米英仏や北欧並みの1・7〜2・0に回復すれば、社会保障費を政府が考えるほど削減していく必要はない。

 出生率が低下趨勢(すうせい)からU字型に回復するとの仮説が正しいとすると、出生率が低下を続けるかあまり回復しないとの想定に立つ路線は修正の必要がある。

 経済と雇用が安定し、働く女性の子育て支援が普及すると、女性就業上昇と出生率回復が両立する。現に、しばらく低下を続けるとの政府の見通しに反して、出生率は2005年の1・26という最低値から06年には1・32へ、07年には1・34へとU字型回復の兆しを見せている。

 第2に、当面の成長路線にも疑問がある。福祉や環境政策に多くの資源を割くと、投資や輸出が阻害され、経済成長にマイナスだとの想定だが、内需拡大による成長方式も考える必要がある。

 1985年のプラザ合意後による円高で輸出主導の経済成長が行き詰まった。そのとき、過大な国際収支黒字是正と内需拡大を目指した前川報告が1986年に発表され、その後、バブル経済をもたらすほどになったことを想起すべきである。

消費需要を決める要因

 当時と現在の経済環境が似通っているためか、政府の経済財政諮問会議が最近発表した報告書は当時の中曽根内閣がまとめた「前川リポート」の21世紀版とも呼ばれる。

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