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【主張】米住宅金融救済 とても火消しにならない
米株式市場で経営不安説が流れた米連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の株が暴落し、慌てた米政府は、公的資金を使って救済する用意があると表明した。米連邦準備制度理事会(FRB)も資金繰り支援のため、融資を決めた。
公的資金による資本注入に消極的だった米政府が、追い込まれた末の豹変(ひょうへん)である。それでも対策が不十分なことは、小康状態だった米国の金融システム不安が再燃し始めたことをみれば分かる。
金融市場は、サブプライム問題で不良債権を抱え、経営が悪化している民間金融機関を選別する動きを強めている。金融不安の連鎖を抑えるには資本注入の枠組みの整備が喫緊の課題である。
両社は民間金融機関だが、米政府が信用を補完し、金融機関から住宅ローンを買い取ったり保証業務を行っている。このため、両社のローン担保証券は、高い信用力を背景に米住宅ローン総額の約50%にあたる約530兆円ある。
サブプライム問題では、住宅価格の下落が続き、債務不履行となる住宅ローンの増加に歯止めがかからない。両社は昨年3月以来、政府の要請を受けてローン債権の買い取り枠を広げ、サブプライム問題の拡大を抑制するクッションの役割を担ってきた。それが、両社が不良債権を膨らませる要因になった。
両社の発行している証券は、日本を含む世界中の金融機関が保有している。株暴落に端を発した信用不安から資金繰りに窮して両社が破綻(はたん)すれば、金融システム不安がドミノ倒しに世界中に広がる。ドルの信認にも傷が付く。米政府は、米国発の金融危機を断固防ぐ意思を明確にしようとしたが、市場の動揺は収まっていない。
米国のいまの現状は、日本の10年前を見ているようだ。不良債権を抱えた金融機関同士が疑心暗鬼に陥り、短期市場からの資金調達が難しくなっている。貸し渋りも横行している。サブプライム問題の抜本的な解決には2社だけではなく、他の民間金融機関の資本増強も欠かせない。だが、出し手が思うように集まらないともいわれている。
米政府の危機対応は後手に回っている。公的資金の逐次投入の愚を犯してはならない。とすれば、日本の経験は金融危機に対応する貴重な教材のはずである。