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【岩崎慶市のけいざい独言】VかW? それとも「大恐慌以来」?

2008.5.12 07:59
このニュースのトピックス景気

 V字型かL字型か。株が急落前の水準近くに急速に戻してドルも買われ、どうやら米国の景気回復パターンはV字型が有力になったようだ。来年まで悪化が続くとみていたL字型回復論は、少なくとも市場では大きく後退した。

 理由は米金融機関の第1四半期決算が予想より損失が少なかったのと、連邦準備制度理事会(FRB)の先の利下げで打ち止め感が出たことらしい。サブプライム問題で混乱した市場は一服どころか、二服も三服感も漂っているという。

 FRBのバーナンキ議長までが発言を大きく修正した。少し前には「米金融の状況は大恐慌以来」としていたのに、最近は減税効果がもうすぐ表れるとし、第3四半期からの景気好転に言及しだしたのだ。

 だが、そう簡単にあのサブプライム問題が片付くものだろうか。と小欄は思うのだが、市場にも慎重論者はいるもので、彼らはW字型説を唱える。

 決算は含み損の未計上や未実現利益の計上など合法的“裏技”で厚化粧された結果だという。バーナンキ議長の厳格な時価会計に対する懸念表明を考えると、なるほど符合する。まるで金融危機当時の日本を見る思いだが、公的資金投入が困難な大統領選が終わるまでの時間稼ぎなのだろう。

 だから、実際の銀行間の資金取引は今も目詰まり状態で、近いうちに次の谷がやってきてW字になるとみるわけだ。

 いや、悲観論者はバーナンキ議長の本音は、依然として「大恐慌以来」にあるとみる。議長の論拠は定かでないが、世界恐慌が保護主義を台頭させた歴史を連想してもおかしくはないからだ。

 確かに信用収縮が世界的に広がりエネルギー資源や穀物などの高騰が続けば、成長を下押しするだけでなく、経済ナショナリズムを刺激する。すでに南米やアジアの一部に一次産品輸出抑制の動きが出ている。グローバル化の巻き戻し現象である。

 保護主義の最大の被害は小資源国日本が受ける。外資規制論議などが感情的な今様攘夷(じょうい)論に変質しなければよいが。

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