ニュース: 経済・IT RSS feed
【主張】背骨混入牛肉 遺憾だが冷静な対処必要
米国から輸入した牛肉の一部に、日本では除去が義務付けられている背骨部分がまた混じっていた。輸入の再開から2年もたたない時期の再発である。極めて遺憾だと言わざるをえない。
ただ今回は、現地の食肉加工場でパックした際、米国内向けの牛肉を誤って入れた、いわば単純ミスが原因のようだ。
背骨付き牛肉の混入は、2年半前にも起きているが、前回は日本向けの輸出基準が工場や検査官に徹底していなかったという構造的問題が背景にあった。深刻度において、当時とは様相が異なることは考慮すべきだろう。
当該工場から輸入した700箱(計17トン)のうち背骨の混入は1箱だけだったものの、全量が直ちに廃棄された。政府も検疫体制の強化とともに、同工場からの輸入は当面、全面停止とした。適切な措置だ。なにより消費者の口に入らずに済んだのは幸いだった。
もちろん単純ミスであれ、米国側に詳細な原因の解明と再発防止策を強く求めるのは当然だ。それでも、感情的反発だけでは何の解決にもならない。BSE(牛海綿状脳症)問題には常に科学的で冷静な議論で臨むことを忘れないようにしたい。
米国産牛肉は、平成15年暮れに米国で初めてBSE感染牛が確認され、全面輸入禁止になった。2年後の再開にあたっては輸入対象を生後20カ月以下に限定し、BSEの病原体が蓄積しやすい背骨や脳など危険部位は完全除去することが日米間で合意された。
前回の背骨付き肉の混入はその再開の直後で、再び禁輸措置が取られた後、18年7月になってやっと再々開された経緯がある。
牛肉に対する日本の安全基準については、専門家の間でも議論が分かれ、輸出国からは国際基準に照らして厳しすぎるとの批判がある。日本の外食産業からも国際基準である30カ月未満まで緩和すべきだとの要求が出ている。
輸入基準の緩和をめぐっては、日米の政府間協議が続いているが、今回の事態で、結論は先送りにされる可能性がある。
食の安全に世界一厳しい国とされる日本では、一度失った消費者の信頼回復は容易ではない。米国側も、度重なる約束違反については真剣な反省が必要だ。単純ミスだからと高をくくっているようなら、今度こそ日本市場から完全にそっぽを向かれかねない。