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「緊急登板」(上)「OB起用にこだわった財務省」 (1/2ページ)

2008.4.7 20:12
このニュースのトピックス金融政策

 「ご苦労さまでした」。3月下旬。戦後初の総裁空席が確定した東京・日本橋本石町の日銀本店に武藤敏郎前副総裁が姿を見せた。任期切れ直前まで昇格の可能性を信じ、手つかずのままの書類整理などが目的だったが、さばさばした様子の武藤氏を見守る職員の思いは複雑だった。

 「財金分離」に反するとして5年前に元財務事務次官の武藤氏の副総裁就任に反対した民主党が、今回の総裁昇格にも難色を示すことは当然予想できた。それでも財務省は「武藤昇格」を最後まで疑わなかったフシがある。長年、政治の表も裏も見続けてきた武藤氏本人が、「最後は政治が“知恵”を発揮するだろう」と周辺に漏らしていたからだ。

 その期待も道路特定財源で激化する与野党の攻防の前に消し飛んだが、最後まで財務省は次官OBの起用にこだわった。次官クラスの天下り先で「日銀総裁は別格」(同省幹部)とされ、ピラミッドの頂点が崩れればすべてが壊れるからだ。省内に「武藤さんとは重みが違う」と疑問の声があった国際協力銀行の田波耕治総裁を次の総裁候補に推したも「民主の反対は承知で省益を守るためにあえて強行した」との見方すら流れた。

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 日銀総裁人事は国会同意と内閣の任命によるが、前任者の意向も重い。福田康夫首相も前総裁の福井俊彦氏に相談を持ちかけ、「武藤さんの昇格がベスト」と助言を得たが、武藤氏の昇格案が否決されたことで、福井氏と官邸のパイプは途切れた。

 総裁空席が確定し、追い込まれた福田首相は民間人の起用を模索した。これに対して財務省首脳は「民間人は利害関係がある」と憤り、日銀幹部も「金融市場や内外の経済が混乱している最中に素人では支えられない」と牽制(けんせい)を強め、立ち消えとなった。

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