ニュース:経済・IT RSS feed
【正論】それでも「証券化」は必要だ 聖学院大学大学院教授・真野輝彦 (1/3ページ)
このニュースのトピックス:商品市場
「サブプライム」と日本の市場問題
≪極端な細分化が影響を拡大≫
サブプライムローン問題の悪影響が長引いている。米国、欧州、日本の中央銀行による流動性供給で金融市場の危機は回避されたものの、その後発表される主要国の証券・金融各社の決算や最近の株安、米ドルの不安定化などは、問題の傷痕が予想以上に深いことを示している。
同ローンの行き過ぎた証券化で、問題が世界中に拡散したことから、証券化そのものが悪の根源と誤認されがちである。しかし逆に日本では、住宅関係の証券化が未成熟なため、地価や住宅価格の市場の決定機能が脆弱(ぜいじゃく)な状態にある。日米の住宅関係の証券化の実情を対比し、問題の所在を明確にしたい。
米国の住宅金融問題であるサブプライムローンが世界中に波及したのは、住宅担保の証券化が細分化され、別の担保と組み合わされて市場に売却されたことにある。このため担保住宅と関連証券との関係が不明確になった。わかりやすく言えば、証券の買い手はA住宅の玄関、B住宅の居間、C住宅の台所などを混合担保とする証券を保有することになった。返済が滞り、担保処分が必要になると、細切れにされた担保のすべてが処分の対象となる。
リスク分散のための細分化が、逆に、処分リスクを拡大させることになった。明らかに証券化の担保細分化・複合化が行き過ぎた結果であり、証券化そのものの問題ではない。
≪日本の地価は実勢反映せず≫
サブプライムローンが証券化された背景には、銀行の資本金と資産との関係を規制するバーゼル協定がある。貸し付け拡大による資本金比率の低下やその結果としての株価下落を恐れる金融機関は、住宅貸し付けを証券会社などに売却し、貸付資金を回収した。一方、ローンを買い取り、証券化し、販売する証券会社の目的は販売手数料の取得である。

