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【主張】財政試算 真っ当な議論はこれから

2007.10.19 03:40
このニュースのトピックス主張

 内閣府が2011年度に国と地方の基礎的財政収支を黒字化するには増税不可避との試算を経済財政諮問会議に示した。昨年の「骨太の方針」の極めて甘い経済前提を修正したもので、やっと「受益と負担」のまともな議論ができる土台が提供されたといえる。

 昨年の骨太方針は民間予測を大幅に上回る名目成長率3%の前提を置き税収を高めに想定した。さらに今年に入って内閣府は税の自然増収が好調なのを理由に、骨太が示した最大14・3兆円の歳出削減をすれば、増税なしで黒字化可能との試算も公表した。

 こうした甘い試算は、先の参院選に向け成長重視で消費税論議を封じ込めようとした安倍晋三前政権内のいわゆる上げ潮派の意向を強く反映したといわれる。今回の修正は税収の伸び鈍化や福田康夫政権への移行で、客観的議論が不可欠になったためだろう。

 試算は名目成長率を民間並みの2・2%と想定、最大の歳出削減を行っても黒字化には3・2兆円の増税が必要とした。少子化対策など新たな政策にはさらなる増税が伴う。

 試算は債務残高の国内総生産(GDP)比でも現状維持するだけで、2025年までに消費税換算で最大11%の増税が必要ともした。高齢化の急進展で社会保障費などが急増するためであることは言うまでもない。

 つまり、「受益」には「負担」が必要であり、負担を先送りすれば財政再建がより困難になることを試算は示している。先進国で突出して悪化した財政が破綻(はたん)に向かえば、成長自体も大きく阻害される。

 問題はこれを土台に、どう受益と負担のバランスと財政再建の真っ当な議論を加速させるかだが、福田政権の政策決定過程には明確な道筋が見えない。ねじれ国会での民主党対応もさることながら、税財政の専門家がいない諮問会議にも求心力はない。

 むしろ自民党が再開した財政改革研究会が、あるべき税財政の姿を描けるかどうかだろう。それは民主党の財源なき政権公約の矛盾をあぶりだすことにもつながるのだが、予想される総選挙に向けた党内の反発は強い。

 ここは首相が掲げる「希望と安心」を実現するためにも、自ら確固とした税財政の方向を示すことだ。

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