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【やばいぞ日本】第3部 心棒を欠いている(9) (2/2ページ)
■中継料で輸入品アップ 国際競争力ダウン
日本の港湾問題は国民生活にも直結している。
東大大学院の家田仁教授は「(日本の港の空洞化で)輸入品の価格高騰や輸出競争力の弱体化を招き、日本経済は国際競争力を失う。その結果、国民負担が増す」と指摘する。
日本が主要航路から外れ、日本−北米・欧州の間に海外の中継港が入れば、その中継港にいったん貨物を運ぶコストが商品価格などに転嫁されるからだ。「実感はわきにくいが、病状は確実に進んでいる」と家田教授は警告する。
国土交通省の試算によれば、完全に海外のハブ港を経由しなければならないとすると、日本に入ってくる食料品で2・3%、繊維製品で3・7%、輸送機械で4・4%それぞれ輸入価格が上昇する。
また、日本からの輸出品が高くなることで、製品の国際競争力が落ち、輸出額は10年間で3、4兆円減少する。
しかも「もし中継港が政治情勢やストライキで凍結されれば、生鮮食品類などが日本国内に届かなくなる可能性もある」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング国土・地域政策部の原田昌彦主任研究員)という。
食料の約6割を輸入に頼る日本にとっては命綱を他国に握られることになるわけだ。
こんな日本に挽回(ばんかい)のチャンスはあるのか。国がようやく重い腰を上げたのはここ数年だ。国交省が旗振り役となって進めている「スーパー中枢港湾プロジェクト」がそれだ。高いと不評の港湾コストを3割削減し、貨物の陸揚げから引き取りまでの所要時間を従来の2、3日から1日に短縮するのが目標だ。
そして、整備費を東京湾(東京、横浜港)、伊勢湾(名古屋、四日市港)、大阪湾(神戸、大阪港)に集中投入する。
税関や入国管理局など各省庁の管轄が分かれ、船会社から煩雑だと批判が強い輸出入や港の利用にかかわる手続きに関しても改善の動きがある。
政府が今年5月に決定した「アジア・ゲートウェイ構想」の最重要項目として挙げた「貿易手続改革プログラム」だ。今後は港湾ごとに異なる手続きの使用様式の統一や簡素化などが進められるという。
最近、日本企業の国内回帰の動きが目立っている。生産効率や品質管理の面で工場を日本国内に設置する方が有利と判断する企業が増加しているのだ。北九州市のひびきコンテナターミナル(HCT)周辺でもトヨタ自動車をはじめ自動車メーカーの工場が稼働する。
HCTの運営会社「ひびきコンテナターミナル」顧問を務めた新日本製鉄八幡製作所総務部開発企画グループの楠雅之マネジャーは「この機をのがせば、中国などからのUターン現象で国内に戻りつつある生産機能が再び流出しかねない。今が日本が挽回をめざす、ぎりぎりのタイミング」と指摘する。
生き残りをかけて打って出るのかどうか。日本の港湾政策はいま、大きな分水嶺(ぶんすいれい)に立たされている。(橋本亮)



