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【デフレの恐怖】(上)「安い買い物」が給料下げる (1/4ページ)
「これが一番いいと思うんだけど」
東京都北区の主婦、畑上ゆかりさん(45、仮名)は帰宅した夫に、チラシの大手電機メーカー製の冷蔵庫を指さした。冷却力が弱くなった古い冷蔵庫の買い替えを考えていた。
容積が500リットル以上で、きれいな氷をつくれて、省エネで…。希望の商品を求めてゆかりさんはインターネットの価格比較サイトやテレビ通販、量販店のチラシを懸命に見比べ、結論を出した。決め手は20万円を大きく下回る価格だった。
「それにしよう」と同意した夫(46)は表情が硬かった。そして言いにくそうに、勤務先の会社が毎週金曜日を休みとする一時休業を始め、超過勤務手当がなくなり、月給の手取りが減ることを切り出した。
夫は電機大手グループの部品メーカーに勤める会社員だ。昨年9月のリーマン・ショック以降、会社の業績は急落した。景気は最悪期を脱したといわれるが、勤務先にはまだ恩恵は届かない。冷蔵庫は、夫のグループ会社製品なら割安で買える。でも、それより安ければ他社製でもかまわないと思っていた。
ゆかりさんは「大丈夫。安い買い物は得意だから」と明るい笑顔をみせたが、ふと悪循環への不安が脳裏をよぎった。
消費者が安さを求めると、それを売る会社は売り上げが落ちる。そうなるとその会社の社員の給料が減らされ、さらに安い買い物を迫られる。ひょっとしたら安い買い物がめぐりめぐって夫の給料を引き下げているのではないか−。
それでもゆかりさんは「生活防衛のため」と、チラシに目を落とす毎日だ。
日本が公式にデフレを宣言したのは平成13年3月だ。当時の麻生太郎経済財政担当相が「持続的な物価下落をデフレの定義とすると、現在の日本経済は緩やかなデフレにある」と表明した。日銀も同年3月19日から18年3月までの5年間、金融機関が保有する国債などを買い取って資金を供給する量的緩和を行い、デフレ退治に力を入れた。



