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【不可能を可能に−生命工学の挑戦(中)】栽培マツタケ開発競争 (1/3ページ)

2009.7.1 13:22

 マツタケといえば日本のキノコの最高級品だが、長く人工栽培は難しいとされてきた。ところが近年では、バイオ企業の研究開発が進み、あと一歩の水準にまで近づいている。いち早く技術を確立すれば天然マツタケより価格を抑えて販売できるため、“夢のマツタケ”に向けた開発競争に拍車がかかっている。

 「キノコになるか!」

 マツタケ菌の培養実験を続けて3年が過ぎた昨年6月、大津市内のタカラバイオの研究室で、酒井武・主幹研究員は心を躍らせた。ドーム状になった菌糸の塊がフラスコ内に見えた。マツタケがキノコ(子実体)に成長する前段階の「子実体原基」といわれるもので、研究チームはその発生技術を確立した。人工マツタケの開発にまであと一歩に迫った瞬間だった。

 これまで多くの企業がマツタケの人工栽培を試みたが、子実体原基の再現可能な方法を確立できなかった。平成16年12月にマツタケのゲノム(遺伝情報)解読に世界で初めて成功したタカラバイオは、キノコ発生にかかわる遺伝子の解析も進め、酒井氏も栄養や温度、菌株(品種)などの条件を変えて培養実験を日々繰り返した。

 だが、フラスコの中はいつもバラバラの白い菌糸だけで、キノコになる気配はなかった。マツタケ菌は他の食用キノコに比べて成長が遅い。実験には長い時間がかかり、培養条件は膨大だった。ここまで来るのに困難を極めたが、ようやくゴールがみえてきた。

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