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【今日の突破口】ジャーナリスト・東谷暁 日本経済「再考のチャンス」

2009.1.7 02:36
このニュースのトピックス景気

 今年は日本経済にとって、大いなる「チャンス」の年になる可能性がある。現在のような米国を中心としたグローバル経済が、変調を来せば来すほど、その「チャンス」は大きくなるだろう。

 とはいえ、私が言う「チャンス」とは、たとえば、欧米に比べ日本の金融機関は被害が少ないから、これから攻勢をかけて破綻(はたん)した金融機関を買収できるとか、日本の自動車産業が欧米を完全に席巻できるというような意味ではない。

 原因はどうあれ、1年ほどの間に株価が50%以上も下落してなかなか回復しない日本経済が、そう簡単に攻勢に出られるわけはない。また、これほどの株価下落と輸出後退が続けば、日本の金融機関も製造業も、次第に体力を消耗するのは避けられないだろう。

 しかも、いまだに「構造改革の停滞が景気後退の原因だ」などと唱える見当違いの政治家や経済評論家が、大手を振ってこの不況の日本を闊歩(かっぽ)しているようでは、景気後退への対症療法すらできない。現在の日本政府が動揺しているのは、こうした恐るべき現状認識の混乱と錯誤のためなのである。

 私が「チャンス」だというのは日本の金融機関や製造業が攻勢をかける以前の問題で、こうした混乱と錯誤を目撃した国民が、これまでの幻想からさめて、正気に戻る可能性があるということだ。つまり、これまで信じ込まされてきた、イデオロギー的な観念から解放されて、日本経済を真剣に考え直す「チャンス」なのである。

 90年代以降、他の国から「規制改革」だ、「IT(情報技術)革命」だ、「金融革命」だ、「M&A(企業の合併と買収)の時代」だといわれて、その度ごとにすっかりその気になってきた。それどころか、こうした「改革」や「革命」が、自分たちが発案した経済政策であるかのように思い込み、必死になって邁進(まいしん)してきたのだ。こうした虚妄から、今年はようやく脱却できるかもしれないのである。

 日本経済を弱体化する規制緩和も、あまりに危うい経済の金融化も、そして現実無視の製造業の特化も、ほとんど、グローバリゼーションが世界に富をもたらすというイデオロギー、いいかえれば、米国発の金融ナショナリズムによって称揚されてきたものだった。その金融ナショナリズムが、崩壊とはいえないまでも、激しく後退している現在、これまで自明とされてきたグローバリゼーションの前提はすでに崩壊しつつある。

 夢のごときグローバリゼーションが歴史的必然でないのであれば、この二十数年の間、日本には経済政策においてもっと別の選択肢があった。金融機関の破綻処理においても、不良債権の解消においてもM&Aのルール設定においても、金融の証券化規制においても米国の金融ナショナリズムが要求するものとは異なる対処が可能だった。いくらでも日本にとって有効な方策が存在したのである。

 これから日本経済は、さらに厳しい事態を迎えることになるだろう。そのなかで必要なのは「どこかの国に理想の経済政策がある」「他の国の誰かが解決策を教えてくれる」と考える悪習から脱し、「日本にとって有益な対処法」「日本の国民経済を活性化する方策」を独自に構想することだ。それができたときこそ、日本には本当のチャンスがめぐってくる。(ひがしたに さとし)

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